こんにちは、ミニマリストのもりたです。
今回は、今年一年間本を読んで、面白かったな、ためになったなあ、という本をどしどし紹介していこうと思います。
小説、エッセイ、マンガ、ミニマリスト関連本などなど、とにかくよかったなあと思ったものを思いついた順に紹介していこうと思います。
文学フリマなどでも、面白い本がたくさんあったのですが、際限がなくなってしまうので、今回は、書店で買えるものをご紹介したいと思います。
とはいえ煩雑になってしまうのもいけないので、小説、マンガ、その他の順で紹介します。
年末年始、何を読もうかなあと迷っている方、ぜひ参考にしていただけたらなと思います。
面白かった本 小説編
小川哲『君が手にするはずだった黄金について』
表題作を含め6作からなる連作短編集。
もう出だしから小川ワールド全開で、一気に作品に引き込まれます。引き摺り込まれると言った方が良いでしょうか。
僕は小川さんを「言葉の魔術師」と勝手に呼んでいるのですが、とにかく物語の切り口がうまい。
「承認欲求」をテーマに描いた連作短編で、スケールの違いこそあるのだけれど、読みながら、
ふと自分自身を見つめ直してみると、なんだか冷静でいられなくなる。
誰もが持っている認められたいという感情。
さて僕は、どうなりたいの?
読み終えた時、きっとそんな感情になることだろう。
誰もが抱く感情をこれでもかとあぶりだす、そんな作品です。
小田雅久仁『禍』
7つの物語で構成された短編集。
食書
耳もぐり
と題名を聴いただけでぞぞぞとなる本作品。
怖い、というよりは気味が悪い。
気味が悪いのに、読むのがやめられない。
まるで、悪魔がこっちへおいでと耳元で囁くように…。
本を食べるのです。
他人の耳に入り込むのです。
ああ、気味が悪い、でも読むのがやめられない。面白すぎるから…
読み始めたら止められない。悪魔的快楽があなたを待っています。
村上春樹『街とその不確かな壁』
村上主義者待望の新刊です。発売日に購入し、一心不乱に読みました。
ここに描かれているのは、1985年に発売された『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の並行世界、こうだったかも知れない、その後の物語。
なので、もしかすると、村上春樹作品一発目で手を出すとあまり楽しめないかも知れません。
村上春樹は、自身の作品で、同じメタファーを何度も何度も登場させます。
それを踏まえて読むとこの作品をより楽しむことができます。
なんとなく、僕の中でこの小説は、村上春樹公式ファンブックみたいな位置付けです。
子易さん、イエローサブマリンの少年など個性的なキャラクターも魅力です。
中島らも『ガダラの豚』
うさんくさい関西弁を巧みに操り、物語の世界に一気に引き込みます。
全3巻、と少しボリュームは多めなのですが、疾走感のある語り口で読者を飽きさせない。
新興宗教、超能力、アフリカの呪術、もうこれだけのキーワードで面白さが滲み出てきます。
小説の面白さ、というのはこういうことなんだよ!と言いたくなる作品です。
Kindleだと合本版があるので、少しお得に読めます。
読み始めると止まらない、という読書体験は、僕自身あまりないことなのですが、夢中になって読んじゃいました。
大江健三郎『万延元年のフットボール』
この小説では、大衆、がテーマです。
大衆は、無知が故に、巧みに利用されてしまう。
そんな恐ろしさが描かれています。
それが、正義だと、思わせてしまう。
これは、現代にも通じることだと思います。
今でも、デマ、フェイクニュース、そんなもので人は簡単に動かされてしまう。
正義を貫いているつもりが、じつは破滅の袋小路に追い込まれていく、そんなことになるのかも知れません。
あなたはどうする?
オースター『ムーン・パレス』
自己破壊の道へと突き進んでいく、それは、サリンジャーや村上春樹と通ずるものがあるのですが、この作品はそれだけじゃ終わらない。
壮大な大河ドラマの如く、物語が展開していくのです。
海外文学普段あんまり読まないな、という人でも楽しめる作品。
ですが少し量が多いので気合でいきましょう。
面白さは保証します。
さて、ここまで小説を紹介していきました。他にもたくさん読んだのですが、今年の一推し小説はこんな感じです。
あとは、今年は、ドストエフスキーの5大長編制覇の目標を掲げたのですが、『悪霊』『白痴』を読み終え、あと一つ『未成年』…というところで、無念。来年こそは!
さ、つぎはマンガにいきましょう!
面白かった本 マンガ編
高松美咲『スキップとローファー』
アニメを見て、みつみちゃんのことが大好きになって、そこから一気に大人買いして読みました。
アニメは、10回以上は見た気がする…(とくに球技大会と動物園の回がすき)
この前、上野に行った時に、みつみちゃんと志摩くんが待ち合わせした場所はこの辺かなあ、とひとりでキョロキョロしていました。
よくあるラブコメマンガ、ではないところがハマったポイントかなあ…
パンをくわえて、ぶつかったイケメンが実は転校生で、なんやかんやでいい感じにとかそういうのじゃない(というよりそんなマンガないよね)、いや、でも二人が最初に出会う場面とかは、それに近いのかなあ、うーむ。
まあ、そんなことはどうでも良くって、このマンガの魅力は、
主人公以外のキャラの心情とか性格とかもかなり丁寧に描かれていたり、思わず共感してしまうポイントがあったり
ああ、こういうのを沼というのでしょうか…
現在単行本9巻まで発売中です。まだまだ追いつけます。アニメも面白いから観て!
真造圭伍『ひらやすみ』
こちらも、今更紹介するまでもなく人気マンガですね。
この世界に流れている、時間、空気感、そういったものが全部好きです。
好きなことに没頭する時間、そしてそれが叶わなくなった時の絶望感。
うまくいかない、それでも懸命に取り組む姿に心打たれます。
誰に何を言われようと、泥臭く、愚直に突き進みたい。
ちなみに好きなキャラクターはあかりちゃんです。
そういえば、あかりちゃんと初めて美術館に行ったのは上野だったな(注:なつみちゃん目線です)
こちらはただいま単行本6巻まで発売中です。まだまだ追いつけるので是非読んで欲しい…!
水凪トリ『しあわせは食べて寝て待て』
だんだん傾向が、わかってきたでしょうか。
こういうマンガが好きなんです。
この作品にしかない、空気、というのがとても素敵。
温泉入ったり、薬膳料理を研究したりと、なんだかほっと一息できます。
でも、それだけじゃなくって、人間関係というか、過去のトラウマとか、
そういったものをかかえて人は生きているということをちゃんとつたえていて、
いまはそれを上手になんとかときほぐしている、そんな状態です。
現在単行本4巻まで発売中です。すぐ追いつけるよ!読んで!
地主『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
おっちゃんサラリーマン(佐々木さん)とスーパーで働く女性(田山さん?)がひょんなことから、
スーパー裏の喫煙所でタバコを吸いながら会話をする仲に。
おっちゃん(佐々木さん)はレジの山田さんの笑顔に元気をもらっている、のだけれど、
ちょうどその時期に、ぼくもセブンイレブンのレジの女性の笑顔が素敵だなあ、と思っていてその人が担当してくれるとめちゃくちゃ元気が出て、わかるー!
と激しく共感してしまったのである。
僕は、スーパー人見知りなのでなので、声かけたりできなかったけど。
二人の掛け合い、喫煙所での会話、でもまだこれから何かあるな、というのが今とても楽しみです。
現在単行本3巻まで発売中です(すぐに追いつけます!)
ということで、マンガ編は以上です。
いやあ、どの作品も続きが楽しみだなあ…
(追記)一冊完結でめちゃくちゃ良かったマンガを紹介し忘れていました。
大白小蟹『うみべのストーブ』
僕の中のマンガのイメージは→面白い!楽しい!
だったのですが、このマンガはすごかった。
あたたかさ、柔らかさ、悲しさ、いろんな感情が静かに訪れるような感覚。
大切なもの、大切なひと、それらを僕は、大切にできているのだろうか。
何度も読み返した名作です。
あまりにも良すぎて、誰かに貸したのですが、誰に貸したのか覚えていない、そして帰ってこない。
でもこの感じもなんかこの作品を表現しているな、としぶしぶ納得しようとしている。
面白かった本 ミニマリスト関連編
これまでは、ミニマリストの本は、佐々木典士『ぼくたちに〜』とミニマリストしぶ『手ぶらで〜』で十分だ、と思っていました。
ミニマリストとしての生活をして3年くらいが経って、まだまだ勉強の余地があるのでは、と思った一年でした。
ということで紹介していきます。
ponpoco『200着の服を8割減らしたらおしゃれがずっと楽しくなった』
部屋を整える、ということは常に意識していたのですが、いままであまり身だしなみというところにこだわりを持っていませんでした。
とりあえずユニクロと無印でそれっぽく清潔感があればいっか、くらいにしか僕は服装については興味がなかった、というよりそこまで頭が回っていなかった。
(ブックオフなのに本ねえじゃん。みたいになちゃった。)
僕にもできるだろうかと、一縷の希望を持って読んだ本。
ちょうど夏だったので、著者の夫さんの服、をちょっと参考にしました。
パタゴニアのバギー買いました。夏はずっと履いてました。いまは筋トレ時に活躍してます。
今度行くグランピング施設が、水着着用温泉もあるということなので、この子を活用しようかな。
全てにお金をかけることは難しいので、著書を参考にしつつ、メリハリをつけて、今は、インナーやボトムスはなるべく安く、その分靴やアウターにこだわりを、とりいれてやっております。
いつかお会いしてみたい方の一人でもあります。
かぜのたみ『低コスト生活 がんばって働いている訳じゃないのに、なぜか余裕ある人がやっていること。』
そんな感じです。
以前にこちらの本については記事を書いていますので、あわせて読んでいただけると幸いです。
四角大輔『超ミニマル・ライフ』
この本を一言で表現するのならば、
新しい、ミニマリズムの、バイブル
(話題の歌手みたいになってしまいました)
ミニマリストに興味があるんだよなあ、というひとにはいつも『ぼくたちに〜』をすすめていたのですが、こちらもあわせて提示してみようかな、と思っています。
本書の基本三原則を常に意識して行動することで、何か自身に変化が訪れる、そんな気がしています。
本書についても詳細は、以前に記事を書いておりますのであわせてよんでいただけるとうれしいです。
結構ボリュームのある本なので、年末年始のおともにいかがでしょうか。
さあ、まだまだ続きます。次は僕の大好きなエッセイです。
面白かった本 エッセイ編
長田弘『私の好きな孤独』
詩人長田弘が紡ぐ極上のエッセイ。そして僕にとってのキングオブエッセイ(暫定ですが)
こんな美しいエッセイが書けたなら、というもうそんな次元ではなく、
ただ、もうそれだけです。
東畑開人『心はどこに消えた』
コロナ禍に連載されていたエッセイをまとめた作品。
面白い話もたくさんあって読み飽きない。補欠の意地みたいなのとか、
喫茶室ルノアールは著者の影響です。
心がどこにあるのかわからない。
自分がわからない。
だから他者がいる。
誰かがきっと見つけてくれる。
僕は、今泣きそうです。
近藤康太郎『三行で撃つ』
ということで、ブログを始めるにあたって読んだ本。
ブログを開設して4ヶ月になりますが、もはや懐かしい。思い出の作品です。
常套句を使うな!
わけわからんオノマトペを使うな!
出だしが全てや、ワレ!(こんなに口は悪くないです)
手に汗握るなんて嘘を書くな!
みたいなことが書かれていて、ふむふむとなった。
そして古典を読め、という言葉を肝に銘じて日々名作と言われる書物を紐解いています。
先生、僕、ドストエフスキー読み終えたら、次プルースト行きます!
それにしては、本の帯に「終盤、電車の中で涙が止まりませんでした」とかいてあり、
この人は本当にこの本を読んだのか、そして近藤はこれを許可したのか、そこだけちょっと気になるけど。
そのほかは、くどうれいんさんが大好きなので今までのエッセイを再読したよ。
くどうさんと東さん共著の『水歌通信』はまだ読めていない、早く読みたい…
それにしても、うたうおばけ、大好きなんだよなあ、文庫化してとってもうれしい。
坂口恭平『継続するコツ』
何かを作ること、最初はそれ自体が楽しい、ところが次第に自分の作ったものに対して、「よいもの」と思われたい欲が出てくる。
そうすると、次第に自分を否定する。
才能がないと言ってやめる。
それは嘘だと筆者は強く主張する。
そして、僕たちを力強く励ましてくれる。
僕たちは嫌なことを惰性で続けてしまうのに、好きなことは才能という言葉を盾に諦めてしまう。
僕は、このほんを読んで、書きたいと強く思った。
いや、ちがうな、書き続けたい、どんなにへたっぴでも書き続けたいと思った。
生き方に迷っている人におすすめの一冊です。
秋田道夫『機嫌のデザイン』
できる人って、なんだか表情がいいな、ということに気づいて、鏡を見たら僕は、表情が○んでいた。
成功者の体験というのは、僕はあまり信用しない、というより再現ができないので、余計に辛くなるのだが、
本書は程よい距離感で、ちょうど良い機嫌の取り方を学ぶことができたと思う。
佐藤友則 島田潤一郎『本屋で待つ』
ゆっくり、元気になる。
心がしんどくなったら、この本を手に取ってほしい。
あたたかさでいっぱいになるから。
花田菜々子『モヤ対談』とpha『曖昧日記3』
花田さんの対談集はまだ全部は読めていないのだけれど、紹介したいのでします。
先日花田さんの経営されている本屋さんで購入しました。
高円寺の蟹ブックス、という書店です。
訪れた日は、花田さんもphaさんもお店にいらしたので、あまりにも興奮してしまった。
phaさん大好きなんですよね。(自分のKindleのライブラリにphaという、phaさんの本専用のカテゴリを作っている)『曖昧日記』はおそらく文フリとかで販売している本なので、アマゾンにはありませんごめんなさい(最後にズルしました)
花田さんの文章も好きで、『出会い系サイトで〜』が有名な著者です。
本を読まない友人がいたので、この本をあげたらどうなるのかが気になりすぎて、当時発売したばかりの頃に、プレゼントしました。
多分読んでくれて、そのあと何冊か読んだとは言っていた。言っていた。
ああ、モヤ対談に戻りますね。
僕の尊敬する社会学者岸政彦さん、そして先程登場した東畑開人さんとの対談がめちゃくちゃ良かった。
そのほかの対談のメンバーもかなり豪華なんです。(あれ、なんか宣伝みたくなってる?)
ブレイディみかこさんや西加奈子さんヨシタケシンスケさんなど、豪華ラインナップで続きを読むのが楽しみです。(今年中にはちゃんと読み終えます)
一生の思い出になりました。
面白かった本 詩集、歌集編
詩や短歌は、エネルギーが凝縮されていて、それがかえって辛い時もあるのだけど、だいたいは僕に寄り添ってくれる。
そういう言葉が好きです。
長田弘『世界はうつくしいと』
もし、手元に一冊しか詩集を残せない、と言われたら迷わずこれを選びます。
僕のブログでは何度も登場していて、またかよと思われるかも知れませんが、
長田弘の言葉の一つ一つに酔いしれてほしい。
岡野大嗣『うれしい近況』
岡野大嗣と言う名前は、書店の短歌コーナーで何度も見かけ、既刊の歌集を買おうかなどうしようかな、とものすごくまよっていた。
この歌集が発売され書店で見たときに目があった気がした。
直感で、今だ!これが岡野大嗣との邂逅や!と購入した本である。
結果的に大正解だったと言うことなのだが、なんと言ってもリズムが良い。
音楽的なポップさと、意表をつくような切り口のバランスが絶妙なのだ。
あと装丁も可愛らしく、中にも穂村弘『シンジケート』を思わせるような仕掛けがあって楽しい一冊。
今の気分で一首引用させていただきます。
さいごに
一年を本を通して振り返ってみると、今年もたくさんの本や人との出会いがありました。
来年はもっと読みたい。そして書く人になりたい。地道に頑張っていきます。
いつもブログを読んでくださっているかた、本当にありがとうございます。(いるといいな!)
多分、僕の書いていることってかなりニッチというか、ちょっと変というか、万人受けはしないと思うんです。
すぐ脱線するし、しょうもないことを言いたくなるし。
それでもよければ、是非、これからも読んでいただけると、とても励みになります。どうぞよろしくお願いします。
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