昨年の10月から始めた取り組みも気がつけば半年が経過していた。
何事も継続してみるものである。(絶対挫折すると思っていた)
読んだ本を記録することは、半分は自分自身のためなのだが、
何か本を読んでみようかな、でもどんな本を読めば良いのかなと考えているこのブログの読者の一助になれば幸いである。(このブログにどれだけの読者がいるのかは分からないが)
先月の読書リストはこちらです。併せてよんでいただけるとうれしいです。
3月の読了本は七冊であった。3月初めに岐阜駅本の市という出版社や個人で本を出されている方から直接本を購入できるイベントに参加したので、(文学フリマの小規模版のようなものだ、そういうイベントがもっと増えてほしい)そちらで購入した本が半分くらいを占めている。
本を買う、という行為は、書店だけではなく、ネットで購入もでき、電子書籍もある。そんな時代だからこそ書き手や出版社の方と話をしながら本を買うというのはとても貴重であり新鮮であった。
鬱の本(点滅社)
僕はこの本に出会えて本当に良かったと思っている。
毎日寝る前に少しずつ読んでいたのだが、84名の方が寄稿されて、それぞれ見開きで読むことができるなんとも贅沢な一冊だ。
先日、東京を訪れた際、『鬱の本』を出版された点滅社の方に高円寺の「そぞろ書房」でお会いすることができた。
あたたかい雰囲気の方で、ああこの人が作った本なのかというのがじんわりと伝わってきてとても良い時間を過ごすことができた。
どこから読んでも良い、気になる作家の話から読むのも良い。この本があなたの御守りになってくれることは間違い無いだろう。
僕自身、1ヶ月のうちの何日かは辛くて文字を読むことが出来ないでいる。それでもこの本を適当に開いてみてその一人の話に耳を傾ける、すると心がすこしだけ楽になって、もう1日だけ、明日だけでもとりあえず頑張ってみようかなという気持ちになるのだ。
僕はその繰り返しでなんとかなっている。
友田とん『先人は遅れてくる』(代わりに読む人)
問いを立て、脱線し、妄想し、そして気がついたら芋蔓式に全ての物語が繋がり帰着する。
文章のリズムとユーモアのセンスがたまらない作品である。
友田とんさんは僕が大好きな作家の一人である。
こんなふうに文章が書けたらいいのになと「友田とん研究」を日々行っている。
気がつくと、東京の町を歩くときに、何かないのか!とキョロキョロするようになった。
ゴミ捨て場のコンテナを見つけたときは、ああこれか!と歓喜した。
普段の会話をする中で、Aという話題に対して、それに関連するものや、一見すると関係なさそうなものでも、なるほどそんな見方もできるのか、というようなやり取りができる人が僕は好きだ。
今の世の中に足りていないものは、ユーモアと想像力だ!と、この本を読んで感じてしまうのだ。
こたまご『本やさんが好き』
岐阜駅本の市で購入したZINE。
見開きで読めるエッセイがとても良い。
書店で働いていた時の経験やエピソードが凝縮された作品で、書店の裏側ではこんなことまでやっていたのか、と書店員さんの仕事の量に驚くばかり。
僕は可能な限り本屋で本を買うようにしている。なぜか。それはお目当ての本以外との思いがけない邂逅が待っているからである。
そのワクワクを提供してくれるのが本屋さんなのである。
マリヲ『世の人』(百万年書房)
こちらも岐阜駅本の市で購入した一冊。
薬物依存と向き合いながら生きている著者の魂の叫びのようなエッセイ。
他者が今どんな境遇に置かれているのかはパッと見ただけでは分からない。
それでもそれぞれ何かを抱えて生きているし、きっと毎日必死に生活している。
声にならない叫びで溢れているだろう。
本書を読むと自分自身を見つめ直すきっかけになる。
見つめ直す、というよりは自分自身と向き合うきっかけという方が適当かも知れない。
太田靖久、友田とん『ふたりのアフタースクール』(双子のライオン堂)
いつか自分がZINEを作るときにこの本を読もうと決めていた。
ZINEをつくったあとどうするか、書店に売り込みに行くなど具体的なエピソードが豊富で役立てたい。
僕は文学フリマが当面の目標だが、いつか書店に交渉に行くくらいになれれば良いなと思う。
とにかくやってみるしかないのだが。
エスペダル『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』(河出書房新社)
現代ノルウェー文学の金字塔的作品、ついに邦訳!と帯にある。
この本は小説だという。
だが、エッセイのようであり、日記のようであり、詩人や哲学者の引用もあり、思想書のようにも取れるなんとも不思議な物語だ。
歩く、とは散歩の意味合いも持つし、歩むといえばそれは人生や生活と結びつく。
それらを孕んだ作品なのである。
面白かったが一読しただけではまだまだ理解が難しいところもたくさんあった。
「何度も読み返すことになるだろう」というのが今の正直な感想である。
本書との出会いは、高円寺の蟹ブックスである。表紙と書き出しに惹かれて購入した。
このような出会いがあるから書店巡りはやめられないのだ。
『オウエフェクト』(サンマーク出版)
疲れている人に読んでほしい。
心を豊かにするための方法がたくさん載っているから。
でも、そのためには僕たちは好奇心を持たねばならない。
何気ない生活の変化や喜びに敏感でなければならない。
好奇心を失った大人は、自分の知識だけで目の前のできごとに説明をつけて納得しようとするのです。(p268)
さいごに
窓を開けると、鳥のさえずりがとても心地よい、そんな季節になりました。
新年度もよろしくお願いします。
とりあえず読書リスト1年は続けたい。1年間読んだ本を振り返ることが出来たらそれはとても素敵なことだと思うから。
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