同僚や友人、恋人、家族へのプレゼント。
ハンドクリームやちょっと高い入浴剤、あとはコーヒーや紅茶、お菓子が定番だ。
でもそこから一歩踏み出して、より親密な関係になりたい。
そんな時に本を贈ってみてはいかがだろうか。
僕は、本をもらうと、とてつもなく嬉しい。
毎年パートナーとお互いにプレゼントで本を贈りあっている。
ただし、いざ本を贈るとなると、リサーチが難しい。
贈る相手が、読書が好きなら、話の流れで、あの本がいいかなと、想像しやすいのだが、
そもそも普段あまり本を読まない相手に、
いくら面白いからと言って、『カラマーゾフの兄弟』を贈るわけにもいかない。
まず大前提として、読書の習慣のない人に本を贈るのはやめよう。
今回は、多分あの人本好きそうだな、という人に思い切ってプレゼントするのに良い本。
読書の話で盛り上がった相手にちょっとしたプレゼントとして贈る本。
プレゼントにおすすめな本を紹介しますが、
ちょっとでもいいなと思ってもらえる本があったら、あなたにぜひ読んで欲しいです。
どんな本がいいのか。
小説は、かなり幅が広いので難しい。
仮に、好きな作家を聞き出すことに成功したとしても、おそらくすでに読んでいる。
ビジネス書は、就職祝いでは重宝されるかもしれない。
ただ、意識の高い人は、すでに自分で何冊か買って読んでいるはずだ。
それならばと、勢い余って『7つの習慣』を押し付けるのも良くない(僕はうれしい)
相手に読むことを強要しない、その時の気分でぱらっとめくって楽しめる本、が良い。
今回紹介するのは、詩集、歌集、そして絵本だ。
それぞれ二冊紹介します。
詩を贈る。
詩を贈る。
寝る前に1編だけ読む。
ふと、これは僕のために書かれたのではないか、という言葉を発見する。
詩集は全て読む必要もないし、適当にページをめくってみて興味のありそうなものだけに目を通す。
それだけでも十分に楽しめるのでおすすめだ。
プレゼントという観点で、二冊おすすめしたい。
谷川俊太郎、鴻上尚史『そんなとき隣に詩がいます』大和書房
劇作家である鴻上尚史氏が、選んだ谷川俊太郎の詩と、それにまつわる小エッセイで構成されている。
「さみしくてたまらなくなったら」「愛されなかったら」「生きるパワーが欲しくなったら」
など、鴻上氏がそれぞれテーマを決め、それに合う谷川俊太郎の詩を選び、一冊にまとめている。
いやあ、この本に何度救われたことか。
今の気分の章を選び、そこに収められた谷川俊太郎の極上の詩を味わう。
今の自分の気持ちにピタッと会う詩を読むことができる。
これ、プレゼントにいいですよ。
そして、谷川俊太郎は誰でも知っている超有名な詩人ですが、教科書以外では読んだことがないな、
という人はぜひ読んでみてください。教科書には絶対載せられないような詩も楽しめますよ。
長田弘『世界はうつくしいと』みすず書房
僕の大好きな詩集です。
ただただうつくしい。
どうすればこんなにもうつくしい言葉を紡ぐことができるのだろう。
僕はこの詩を読むたびに、たまらなくくやしくなって、そしてたまらなく感動するのだ。
わかりやすい言葉で描かれる深淵な世界観。
谷川俊太郎は、有名すぎるし、長田弘は少し難しいかもな、でも詩集を送ってセンスがあると思われたい。
そんな方は、若松英輔の詩はいかがでしょうか。
おすすめは、『美しいとき』(亜紀書房)
短い詩がたくさん収録されていて、どれも心にゆっくりと寄り添うような、あたたかさを感じることができます。
「詩を贈る」という題の詩も収録されており、まさにプレゼントにぴったりだと思います。
短歌 今の言葉で書かれた現代短歌だからこそささるものがある。
短歌と聞くと、難しそうに思うが、現代短歌が今アツいです。
今の時代、僕たちが普段使っている言葉で表現された短歌は、生きる苦しみや、悲しみ、そして喜びを分かち合うことができる。
掛け言葉、係結びの法則、助動詞、枕詞、そんな知識は一切不要。(短歌のイメージ)
たった三十一文字で描かれる、世界。
そこには、あったかもしれないあの時の感情。
忘れていた淡い記憶。
おもわずあるある、と共感する歌。
それらが言葉の泡となって僕たちの前をかけめぐる。
現代短歌を切り開いたのは、俵万智や穂村弘。
そしていまは、若い世代の歌人がたくさん歌集を発表している。
装丁もおしゃれで、贈り物にとても良い。
そしてなにより、わかりやすい歌が多く、ついつい引き込まれてしまう。
読書をあまりしない人でももしかしたら短歌、ハマるかもしれないな。
好きなアーティストの歌詞がいいんだよね!
と熱く語る友人は多分短歌にハマるはず。
大きな書店に行けば、短歌のコーナーが充実していることがわかる。
うつくしい装丁、レイアウト、様々な工夫を凝らした珠玉の一冊に出会えるはずだ。
さて、何をすすめようか。
岡野大嗣『うれしい近況』(太田出版)
今まさに読んでいるお気に入りの歌集。
何気ない日常や、音楽を言葉にした歌集で、おもわず共感してしまう。
装丁も可愛しくて、プレゼントにもらったらかなりうれししいな、僕は。
岡本真帆『水上バス浅草行き』ナナロク社
SNSで話題になった作品。
ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし
そのほか、思わず笑ってしまう歌、あるあるとうなずく歌、たくさん入ってます。
とてもわかりやすい言葉で書かれているので短歌の入り口としてとても良いのではないでしょうか。
何かを書きたそうにしている人に
ブログでも、小説でも、短歌でも、日記でもいい。なにかを書きたい、と思っている、もしくは思っていそうな人に刺さる一冊を紹介。
木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』(ナナロク社)
この本を読むと、言葉の一つ一つの大切さに気づかされる。
そして、何か文章で表現してみたくなる。そんな一冊です。
短歌の入門書ですが、短い言葉で相手をしびれさせるテクニックは、プレゼンやSNS発信でも活躍間違いなし。
この本プレゼントする人、好きだなあ。
大人になったからこそ心に響くものがある 絵本
今こそ、読んで欲しい。
きっと当時とは違う気持ちになるはずだから。
最後に絵本コーナーに立ち寄ったのはいつだろう。
そんな人も多いかと思います。
懐かしい作品や、新しい魅力的な作品、
絵画のようなうつくしい絵本もたくさんあります。
本屋さんの絵本コーナーを覗いてみませんか?
島田ゆか『バムとケロのさむいあさ』(文溪堂)
ぼくが大好きなバムケロシリーズの中でも一番好きな一冊。
ちいさいとき、怖い夢を見そうになったらバムケロを読んで眠ると安心して眠れる、という自分なりのおまじないがありました。
なので、この本は何度も何度も読んでボロボロになりました。
今は、小型サイズが売っているので、これは、こどももだけど大人もどうですか、と言わんばかりだ。
また、もう一度全部読み返したいな。
絵がとても細かくて、丁寧で、色々探したりするのも楽しいんですよね。
村上春樹訳『おおきな木』あすなろ書房
おおきな木がもたらすのは、透き通るような無償の愛。
小さい時に、この本を読んだ。
なんだか、木が可哀想だな、そんなふうに思った。
大人になった今改めて読み返してみると、全く違う印象を受けるはずだ。
今だからこそわかる、「おおきな木」のありがたさ。
そしていつか僕も親になった時に、そんな気持ちになるのかな。
『かえるの哲学』(ブルーシープ)
『ふたりはともだち』のがまくんとかえるくん。
そのシリーズの中から、名言とその場面を一冊にまとめたのが本書。
なので、厳密には絵本とは言えないかもしれないが、言葉と挿絵に癒される。
懐かしい気持ちになるとともに、大人になった今だからこそ刺さる言葉たちがたくさんある。
パラパラ眺めるのが楽しい。
さいごに
本を贈るのって難しい。
本を贈るのは勇気がいる。
でもその先になにか素敵な出来事が待っているのかもしれません。
ちなみに、今僕が欲しい本はときかれたら、『長田弘全詩集』と『失われた時を求めて』全巻と答えます。誰か贈ってくれないかなあ。
みなさまの読書ライフがより豊かになるようなお手伝いができれば幸いです。
ちなみに、プレゼントとして、エッセイを贈るのもおすすめです。
おすすめエッセイは以下の記事にまとめていますので、あわせて読んでいただけるとうれしいです。
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