経験とは、ゼロがゼロで無くなる瞬間だと思う。
一度知ってしまったら、それ以前の僕には戻れない。
本を読むことで、何かが劇的に変わる、わけではない。
時に、本を読んで苦しむことだってある。
それでも本を読むことがやめられない。
その苦しみは、その本を読まなければ、永遠に知ることのなかった苦しみだ。
人の弱さを知る。
人の痛みを知る。
醜さや、ずる賢さを目の当たりにする。
人生の儚さを知る。
だからこそ、そこにある僅かな希望を汲み取ろうとする。
できるだけ人に優しくなろうとする。
今日1日を無事に過ごせたことをうれしく思う。
本を読まない人生の方が幸せだという人もいる。
間違っていないと思う。
それでも、僕は本を読まずにはいられない。
なぜか。
知りたいのだ。
どんな言葉で問いかけてくれるのかを。
どんな言葉で僕を裏切るのかを。
本は待ってくれる。
たとえ途中で投げ出しても、
本は勝手に進んだりはしない。
再び開かれるその日までじっと待ってくれる。
読みたくなった時に続きを読めばいい。
その時が来なかったとしても、それでもいい。
いろいろな種類の本を読むのがいい。
いろんな国の、いろんな時代の本を読むのがいい。
自分の嗜好だけで選ぶと、だんだん読む本が偏ってくる。
そんな時は、誰かに本を薦めてもらう。
読書案内の本を1冊持っておくのも良い。
おすすめの本を教えて下さいとつぶやけば、
誰かが教えてくれる。
そうやって自分では選べなかった本が、
意外にも僕をするどく射抜く。
そう、何度も射抜かれた。
僕は、本の話がしたい。
あなたが今どんな本を読んでいるのか
たまらなく知りたい。
そしてその本を読んであなたがどう思ったのか
教えて欲しい。
「一冊、同じ本を読んでいれば
会話することができると思うの。」と、
昔のコピーであったけど、
僕はむしろ、違う本の違う話が聞きたい。
そして、僕を新しい場所につれていってほしい。
打ちのめされたい、そんなことも知らなかったのかと。
読書はいつ始めても良いし、いつやめても良い。
本が要らなくなった人生というのも、きっと悪くないのだろうと思う。
でも、たとえどれだけ苦しくても、幸せになれないとしても、
本を読むことをやめることはできないのだと思う。
本を読み続けた先に何があるのかそれが知りたい。
もしかすると何もないのかもしれない。
でも何もなかったとしても、それを見届けるまでは
本を読み続けるのだと思う。
本は、読んでも読まなくても
どちらでもいいと思ってる。
それでも一度経験してしまったら
もうそれ以前の自分ではいられない。
読まずにはいられなくなる。
本にはそんな力がある。
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