熱狂の渦に飲み込まれた。
そして帰る頃には、おそらくぼくの中で何かが変わっていたと思う。
本が好きな人しかいない空間。
「本が好き」って改めて素敵だなと思った。
そして、それを文章で表現することのできる人たちの凄さに圧倒されたのだ。
ぼくは、ただの本が好きな人、本を読む人である。
目の前にいるのは、本を書いている人。
自分の頭の中にある、まだ言葉になっていないモノたちを繋ぎ合わせて文章にすることができる人たち。
140文字で本の感想を書くのでさえ苦戦しているぼくにとって、一冊の本を作るということがどれだけ大変なことなのか、想像すらできない。
なぜ、その本を作ったのか、なぜそれを書こうと思ったのか、たまらなく知りたいと思った。
なので、ほんの少しでも気になったものがあれば、手に取り、買って帰ることにした。
さながらバイヤーになったような気分であった。
普段仲良くさせていただいている方の本は買うと決めていたが、あとは直感。
本の装丁や内容、というよりは、販売している人の顔をみて、
いったいこの人はどんなことを考えているのだろうか、知りたい!、という気持ちを優先した。
目があった人のブースに立ち寄り、いろいろ話を聞いて、面白そうと思った本を買った。
直感で目があった人の本を買いましたよと、今回出展されていて、エックスでもお世話になっている簪なぎささんに話したら、
「ポケモンバトルみたいだね」
と言った。さすが作家だと思った。とっさにそうやって言葉が出てくるのがすごいなと思った。
それを聞いてふと、考える。
ポケモンバトル。
目があったトレーナーにバトルをけしかけられて勝負をする。
ポケモンのゲームで最初に出会ったトレーナーに、
目があったらポケモンバトルだぜ!みたいなことを言われて、ゲームが進んでいったと思うのだが、
「目、合ってなくね?」
あの、たしかに、あなたの前を横切りましたけど、目なんて合わせていない。
勝手に目をつけられてなんの断りもなしに勝負を挑んでくる。
そういう絡み方してくる人、嫌いだなあ、嫌だなあと、いまさら思った。
そのことに運営側は25年かかってようやく気づいたのか、最新作ではこのシステムが廃止されている。
そのくせ一回負けたらもう戦ってくれないし、(再戦できる人もいたのかな)エリートトレーナーたちは一生チャンピオンロードの洞窟にこもって修行?している。
洞窟にこもっているトレーナーたちはポケモンマスターを夢見ているはずなのに一向にそこから出てこない。
ぼくは思った。
洞窟は、可能性のメタファーである、と。
その洞窟にいる限り、ポケモンマスターになれるかもしれないという可能性の中で生きていくことができる。
ぼくも、その洞窟から出ていかなければならないのかもしれない。
はじめは、強烈な光に目がくらみ、痛みを感じるだろう。きっと涙がボロボロと流れるだろう。
でも、それになんとか耐えると、次第に目が慣れてくる。
少しずつ世界が見えるようになってくるだろう。
ぼくは、決めたのだ。次は本を売る側で参加したい、と。
では、具体的に何を買いて、何を表現したいのか。
わからない。
でも、なぜだかわからないけど、やってみたいと思った。
誰も買ってくれなくてもまあ、それも経験だ。
本が仕上がっていなくても、いやそれは問題だ。
何を書くか、何を書くか、何を書くか。
こういうクソ真面目な文章よりも、きっとポップな文体の方がいいだろう。
夢が膨らむ。ああ、何を書こうか。
純文学か、エンタメ小説なのか、エッセイか、詩集か、いっそ恋愛小説はどうか。
あまりにもリアリティーがなさ過ぎて童貞ファンタジーだと思われるかもしれない。
とにかく、ぼくは今回買った本を全て読み、そこから学ぶことから始める。
あまりにも買い過ぎたため宅急便で送った。まだこない。
買った本や読んだ感想は、追々エックスでポストしていきたいと思います。
とにかく、ぼくは圧倒されたのだ。
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